12/25から冬期講習を実施しています。
通常は夕方からの授業ですが、午前11時からやっています。
冬休み中はブログを更新する暇はないだろうなと思っていましたが、欠席者が相次ぎ時間が出来ました。(体調不良の方が増えています。どうぞご無理をなさらぬように)
次の授業までの間に何とか書こうとキーボードを叩いています。
何のために勉強するのか
10年以上、人に勉強を教える仕事をしていますが、正直に言えば、明確かつ誰にでも通じる答えは無いと思っています。
しかし、それでも考えること、大人が的確な助言をすることには確かに意味があるはずなので少し整理してみようと思います。
「将来の選択肢が広がる」
「正しい情報を判断し、だまされないように」
「話が通じないと困る」
よく言われるのはこのあたりでしょうか。
実際に私自身伝えることもあります。
ただ、これらは大人だから分かることで、経験上それをスッと納得してくれる生徒は一握りです。
また、私は勉強をそれなりにして人生を歩んできたので、勉強しなかった人生を経験していません。
ですから
「もっと勉強しておけばこんな苦労はしなかったのに・・・」
というような話を具体的に説得力を持って話すこともできません。
(もっと勉強しておけばよかったとは思っていますが)
じゃあどうすればいいのか?
有用だなと感じているのが、「生徒に考えさせること」です。
自分で出した答えなら
もう10年以上昔、責任者として私がまだ駆け出しの頃でしょうか。
勉強に身が入らない中3生がいました。
夏休みに入って間もなくの頃でした。
彼はレンタルDVDの袋を持って塾にやってきました。
当時はまだ現在のような動画配信が盛んでない頃でした。
彼は袋の中のアニメのDVD5枚ほどを一週間で見るというのです。
それを見過ごすわけにはいかず、しばし問答をしました。
私は言いました。
「このままだと高校に落ちるぞ。勉強したくない理由もあるだろうけど、勉強すべき理由を一つでいいから考えてごらん。応援してくれる家族に応えたいとか、モテたいとか、将来こういう仕事に就きたいとか何でもいいからさ」
しばらく沈黙した後、彼は声を震わせ、涙声で答えました。
「家族のため・・・です・・・かね」
私もつられて泣きそうになるのをこらえながら、こう助言しました。
「そうか、じゃあ負けそうになった時は家族のことを考えてがんばれ」
そこから彼は変わりました。
勉強に取り組む姿勢が違うのはもちろんのこと、自主的に自分の部屋からテレビをなくしたのです。
成績は2学期にかけて大幅に向上し、無事志望校に合格したのは言うまでもありません。
その時に思いました。
「自分で導き出した答えは強い」と。
「きっと忘れない」と。
才能を見出し、それを育てる
彼は英語のスペルがなかなか覚えられませんでした。
英語の才能に恵まれていたとは言えません。
しかし彼には、自分だけではない人の心を考える才能がありました。
幸いに私はその才能を見つけることができました。
誰にでも勉強の才能があるとは限りません。
努力すれば誰でも東大に入れるわけではありません。
それでも私は勉強することには価値があると言い続けるでしょう。
彼の涙を思い出すたびに、そう思います。
実は今年だけでもう五人くらいの涙を見たのですが、その話はまたいずれ。
皆様、よいお年をお迎えください。
個別指導塾 栄伸館塾長 小西啓太