栄伸館のHPを公開して、1年が過ぎました。
中間テストの結果が出そろい、初めはそのことを書こうと思いました。
しかし、最近は私の考えに共感し、問い合わせをくださる方も増えてきました。
そこで今回は私の「塾」「仕事」というものに対しての考えを書いてみようかと思います。
成績アップの秘訣や勉強法のテクニックなどは出てきませんがご了承ください。
(それでも、まともな文を書けるという自信も少しはあります。出来れば最後までお読みください)
一生忘れない
「職業に貴賎(きせん)なし」という言い回しがあります。
どんな職業も必要性があるから存在する訳で、どっちが格上だとか格下だとかはありません。
もっともだと思います。
しかし、とは言うものの、人間ですから「好き嫌い」や「得意不得意」はあります。
私は大学卒業後、すぐに塾講師になったわけではありません。
アルバイト含め、10以上の職種の経験があります。
どの仕事からも学ぶべき事があり、貴重な経験をさせてもらったなと思っています。
しかしその中に「正直もうやりたくないな」というものが2つ思い浮かびます。
向き不向きの問題です。
一つは調理関係です。
私は学生時代を京都で過ごしたのですが、その中心地の四条通りにあるカラオケ店でアルバイトをしたことがあります。
老若男女問わずお客様が途切れる事はなく、とんでもなく忙しかった記憶があります。
それでも「部屋の清掃」や、「受付」は慣れれば何とかこなせました。
ただ「厨房」は別です。
マニュアル通りにポテトを揚げたり、ラーメンを作ったり、パフェを作ったり・・・
いえ、時間をもらえればちゃんとできますが、先述の通り繁華街なので注文が途切れる事がないわけです。
常に同時進行で何かを調理し、終わったと思ったら次の注文が入ります。
注文が入ると「ポーン」という機械音が流れるのですが、あの「ポーン、ポーン、ポーン」はトラウマかもしれません。
調理ミスをし、人生で仕事上の謝罪をしたのもあの時が初めてです。
もっと複雑な料理をミスなく同時進行出来るプロの方、そして日頃ご家族の食卓を用意されている方には頭が下がるばかりです。
もう一つ思い浮かぶのが交通量調査です。
道路わきに座って、車の数をカウントするお仕事です。
難しい内容ではありませんし、日当も良かったので軽い気持ちで応募しましたが、やってみると大変でした。
まず時期が真冬で、風が強い日でしたから、寒くてしょうがない。
右手で北から来る車を、左手で東から来る車をカウント。
ひたすらカチカチ。
「もう1時間くらい経ったかな?」と時計を見るとまだ30分・・・
長い一日を経験しました。
それでも途中、「マッチ売りの少女」のように見えたのでしょうか。
付近のコーヒーショップで買ってきてくれたのでしょう。
裕福そうなご婦人が「寒くて大変だろうと思うけど、がんばって」と温かいコーヒーを渡してくれました。
あの時のコーヒーは本当に温かく、美味しいものでした。
きっと一生忘れません。
涙
色々な仕事を経験しましたが今の仕事、塾講師が自分には合っていると感じています。
知識を吸収すること、そしてそれを人に教えることは子どもの頃から好きでした。
そして成績が上がることで感謝してもらえたり、信頼してもらえたり。
塾をやっていると大変な事もありますが、嬉しい事も多々あります。
今回のブログを書くきっかけとなった出来事をご紹介します。
とある生徒と授業後、部活動、スポーツの話になりました。
私は中学時代サッカー部で、今もサッカーが好きです。
会話の流れから、ふと私はこんな事を口走ってしまいました。
「指導者に恵まれていたらサッカーの道に進んでいたかもしれないな」
すると、こんな言葉が返ってきました。
「でもぼくはこの運命で良かったです」
一瞬理解できませんでしたが、ハッと気づきました。
彼は「小西啓太」が塾講師になっていなければ、サッカーの道に進んでいればこの出会いは無かったという意味の事を言ってくれたのです。
「ありがとうございました。さよなら」
「はい、さよなら」
生徒が帰った後、一人教室でさっきまでのやり取りを思い出していると涙がジワリと浮かんできました。
サッカー選手になりたいと思ったこともありました。
詩人や作家に憧れたこともありました。
音楽を仕事にしたいと思ったこともありました。
しかし、今は誇りを持って言えます。
「俺は塾講師だ」
個別指導塾 栄伸館塾長 小西啓太